女性1 患者さんの声-10歳未満女児-

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インタビュー対応:父親

心臓の動きをモニタリングができる

娘が失神したので近所のクリニックで診ていただいたところ、大学病院を紹介されました。検査の結果、QT延長症候群と診断されました。失神したときはそれほど深刻に考えていなかったので驚きました。先生から、お薬を服用して経過観察する間、心臓突然死予防の目的でWCD着用を勧められました。WCDを着用していれば、心臓突然死をプロテクトしながら、心臓の動きをモニタリングすることもできると説明を受けました。今後の治療方針を決めるため、今の娘にはWCD着用がとても重要であることがよく理解できたので、WCDの着用を決めました。

お風呂以外はずっと着用

着用方法の説明を受けたときや着用開始数日は電気ショックを怖がって泣いたこともありましたが、着用1か月もしないうちに娘はWCDに慣れ、着用不備によるアラームの回数は減りましたし、バイブレーションを感じた時点でリセットボタンを押してアラームが鳴る前に対応できるようになっていました。私は途中からアラーム音は聞いていないですね。
お風呂以外はずっと着用していましたが、夜もぐっすり眠り、着替え(着用、着脱)もさっとできるようになっていました。

腕時計型のコントローラを作ってほしい

小学校では担任の先生から娘がWCDを着用することをクラスの生徒たちに説明をしてくださいましたが、娘が肩から下げているコントローラを見た他のクラスの子から「それなに?」と何回か聞かれたようで、そのたびに説明するのが嫌だと言っていましたね。また、遊んでいるときに肩から下げるコントローラが邪魔だったようで、腕時計型のコントローラを作ってほしいと言っていました。
3月着用し、失神が一度も起きなかったことが確認できました。現在は薬物治療をしながら経過観察をしています。

主治医

主治医コメント

藤田医科大学病院 小児科  齋藤 和由 先生



患者様が初めて当院を紹介受診されたときは小学校低学年でした。目的は失神の精査でした。よくよくお話を伺うと失神は初めてではなく、すでに3回目ということでしたので、大変驚きましたし心配しました。いずれも大事に至らず当院へ辿り着いてくれたことに感謝しました。
失神する原因としては様々な疾患が隠れていることがありますが、患児の場合は、精査の結果、家族歴は明らかではありませんでしたが、QT時間が長く、QT延長症候群が疑われました。その後も不整脈発作は誘発されず、診断ははっきりしないため、ご家族とも話し合って遺伝子検査を施行し、LQTの新規の遺伝子変異が同定されました。しかし、これに関しても本当に原因であるという証拠はなかったわけですが、3回の失神既往も鑑みてβブロッカーの内服療法を開始しました。
発作を捉えられていないこととICDの適応を検討するため、体格としては小柄でしたが、WCDを装着することにしました。
WCDの良いところは年齢による適応制限はないことで、体格が適していれば使用してもよい点です。患児が小学生の場合はご家族の同意、理解もさることながら、ご本人の同意、理解が欠かせません。ご本人に実際装着して調整後、十分な練習をして頂いてから使用できるかどうか、ご本人とも相談して主治医の責任の下、判断することが肝要であると思います。また、学校生活がありますので、学校の先生方とも日ごろから連絡を取って、ご理解を頂くことも大切なことと思いました。
幸い患児は非常に上手にWCDを使用して3か月間過ごされました。WCDが作動しなかったことは良かったことですが、この3か月間も含め現在まで不整脈を捉えることは出来ていません。逆に現状は運動制限+薬物療法でコントロール可能な状況と判断して外来フォローアップしております。今後も安定した状態が続くように願っております。

掲載:2021年04月30日