女性1 患者さんの声-10代女児-

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インタビュー対応:本人、母親

失神の原因を見つけるために

母)昨年の夏に1回意識を失い、失神の原因を見つけるためにWCDを3か月着用しました。コロナ禍でほとんどの期間が自宅学習だったため、着用中に登校した日はわずかでした。
本人)登校日には毎回連絡帳で先生にWCDを着ていることを伝えました。お母さんが、授業中にアラームが鳴ることがありますが自分で対応できます、と書いてくれました。でも、コントローラを肩から下げていると興味を持った子がついてくるので、いちいち説明するのが大変でした。
母)登校日が少なく、運動会も中止になったので、先生から案内がなかったのだと思います。全体練習などで着用している姿を他の生徒さんたちに見せていたら違っていたのかもしれません。

終わった後の解放感を楽しみに着ていました(笑)

本人)お風呂以外はずっと着ていました。お風呂の後は汗をかきやすいので、体をしっかり拭いても、ベストを付けると汗をかいてちょっと痒くなってしまいました。 3か月着たら終わると、終わった後の解放感を楽しみに着ていました(笑)
母)娘がWCDを外したときの感想は「ようやく解放された。よかった。」「大変でも健康のためだから我慢できた」でした。WCDを着ける意味を理解していたから3か月続けられたと思っています。

次に着ける子たちは

本人)コントローラのショルダーベルトをひっかけて転んでしまったことがありました。普段と違ってコントローラを持ってることを忘れてしまったからだと思います。次に着ける子たちはそういうことも気を付けるといいと思います。
母)3月の着用が終わりましたが、まだ原因はわかりません。その後失神は一度も起きてないので、今はお薬を飲みながら経過観察をしています。

主治医

主治医コメント

藤田医科大学病院 小児科 講師  齋藤 和由 先生



患者様は昨年夏、プールの授業中に泳いでいて気分の不快を感じ、プールを出たところで失神されました。担当教師により直ちに蘇生をされ、幸い数分後に意識を回復し、そのまま当院へ救急搬送されました。
当院到着時は意識清明で麻痺等もありませんでした。そのまま精密検査となり、大きな異常はなく、(心電図波形に対する蘇生後の影響も否定できませんでしたが)心電図上QT時間が長いことだけが検出され、エピソードからもQT延長症候群が疑われました。
これまで小学校1年生、4年生の心電図健診ではボーダーライン症例で2次検診には抽出されていませんでした。家族歴も明らかではなく、QT延長症候群タイプ1-3の遺伝子検査も陰性であり、その後の発作も認めていません。繰り返し検査をした、運動負荷等による誘発、脳波や起立調節障害の検査も陰性でした。
病歴、症状と心電図所見から、QT延長症候群と考え、運動制限とβブロッカーの予防内服を開始しました。発作への対応、ICDの適応を検討するためにWCDを装着して頂きました。年齢的に体格は十分大きく、機器への理解は良好でスムーズに使用できました。
着用期間(3月間)問題なく使用でき、幸いWCDは作動しませんでした。逆に現在まで失神を認めていませんので、発作波は捉えられていない状況ですが、運動制限+薬物療法でコントロールできているという判断の元、外来経過観察中です。今後も安定した状態が続くことを願っています。

掲載:2021年04月30日