男性2 患者さんの声-40代男性-

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インタビュー対応:本人

普通の人の心臓の1/3程度しか機能していない

心不全で入院し、退院の話になったときに、先生より不整脈リスクが高いためWCD着用の話がありました。
回復傾向にあるものの、まだ普通の人の心臓の1/3程度しか機能していないため、WCDを着用して心停止のリスクを回避しつつ、心臓の回復を待ちましょうとのことでした。着用終了後も心機能の回復が見られない場合はICDなどの植込みが必要になることも説明を受けました。また、何もしないでの退院はお勧めしないとの話もありました。
すでに1カ月半入院していた私は早く退院したい気持ちが強く、日常生活に一部制限があるICD植込みは回避したかったこともあり、それまでWCDの存在は全く知りませんでしたが、「よし、やってみよう!」と着用することにしました。

寝るときに苦労したこともありました

1日22時間以上WCDを着用していましたが、日常の生活は問題ありませんでした。
ただ寝るときに苦労したことは少々ありました。熟睡モードに入ってしまえばよいのですが、寝つきの悪いときや寝返りしたときにコードや背中のパッドの痛みで目が覚めることがありました。ある晩はアラームで飛び起きました。不整脈に反応したのかとかなり慌てましたが、アラームのメッセージを聞いて、よく見たら、ベストのフックが外れていました。電極ベルトが外れたことによるアラームでした。たった1回だけでしたが、あれには肝を冷やしました。
そういえばウォーキングしているときに突然大雨が降ってきたときも慌てましたね。横からの強い雨だったので急いでコントローラを服の中に隠して家に帰りました(笑)

初めてのWCD着用者でした

保険診療上限の3月着用し、心臓の回復が確認できたとのことで、ICDの植込みは回避できました。WCDが無かったら即ICD植込みになっていましたので、本当に感謝しています。
私が受診している病院では私が初めてのWCD着用患者でした。WCDの処方可能な施設は限られていると知って、WCDを処方してもらえる病院で本当によかったです。

私はいざとなって手遅れになるよりはWCDを着けていた方が安心だと思います。私の場合はICD植込みを回避できましたし、医療費の負担はありましたが、損したとは思っていません。着用中は、いつ不整脈が起きて心停止になるかという不安によるストレスも軽減されました。結果的に私にはメリットしかありませんでした。

主治医

主治医コメント

新潟大学医歯学総合病院 循環器内科 長谷川 祐紀 先生



患者様は、全身浮腫と息切れを主訴に近医を受診し、心不全の診断で当科に紹介、入院されました。精査の結果、左室収縮率が非常に低下した非虚血性心筋症と判明しました。
心不全に対する薬物治療を開始しましたが、治療中に何度か非持続性の心室頻拍がみられました。ICDの植込みに際して、十分な薬物治療を行ってから3か月程度の経過観察が必要と言われる中、主治医としてもその間の不整脈突然死の可能性が気がかりでした。
幸い、患者様はWCD治療を受け入れてくださいました。着用可能な期間を十分に装着いただき、作動はありませんでした。治療開始3か月後の心エコー検査で左室収縮率が改善していることが確認でき、ICD植込みは行いませんでした。
WCDは、心不全治療直後の不安定な期間に、患者・主治医双方に安心をもたらし、より適切なICD植込みに貢献するデバイスと考えています。

掲載:2022年02月04日